暗算のコツ

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速い暗算は「数学に向いている人」の話ではありません。難しそうに見える計算を、計算を始める前にやさしい計算へ作り替える、ひとにぎりの近道の話です。考え方はそれがすべてです。速く計算しているのではなく、計算そのものを減らしているのです。

下のどのコツにも、例題と、それが正しい理由がついています。理由を覚えればコツは忘れませんし、もっと大事なことに、いつ使えて、いつ使えないかがわかるようになります。

頭の中で数を速く足す方法

頭の中ですばやく足すには、左から計算します。47 + 38 は 70 + 15 = 85 で、まず十の位、次に一の位の順です。片方の数がきりのよい数に近いときは、丸めてから直します。47 + 95 は 47 + 100 − 5 = 142 です。

406080100120140160+ 100− 54747 + 95 = 142

100を足してから100 − bを引くのは、bを足すのと同じことなので、合計はぴったり合う。ここでの補正は: 5

補正を2にしよう。

右からではなく、左から

紙の上では一の位から足します。頭の中では逆にして、いちばん大きい部分から始めます。

386 + 245 → 300 + 200 = 500 → 80 + 40 = 120 で 620 → 6 + 5 = 11 → 631。

筆算が右から進むのは、くり上がりの行き場を作るためです。でも頭の中には迷子になる紙がありません。大きいほうから始めれば、最初の一秒から「だいたい600」というおおよその答えを握っていられます。途中でじゃまが入っても、答えの大部分は手の中です。

丸めてから、直す

片方の数をきりのよい数まで押し上げ、あとで足したぶんを返します。

67 + 28 → 67 + 30 = 97、それから −2 → 95。 154 + 99 → 154 + 100 = 254、それから −1 → 253。

30 を足すのは 28 を足すよりほんとうに楽で、直しは小さなひと手間です。8 か 9 で終わる数は切り上げる価値があり、1 か 2 で終わる数は切り下げる価値があります。
405060708090100110120+ 29+ 30− 14545 + 29 = 74
40 とんで 11 返しても 74 に着きます。どのキリのいいジャンプでも着きますが、いちばん近い十の数だと返す数がいちばん少なくなります。 レッスン全体: きりのいい数にして直す

まず10を作る

小さな数どうしなら、10になる組を見つけて、ひとかたまりで足します。

7 + 38 + 3 → 7 と 3 で 10 → 48。

たし算は順番を変えても答えが同じなので、都合のよい順番を選んでかまいません。子どもが最初に出会う本物の作戦であり、大人がいちばん使い続けている作戦でもあります。
050+7+3+38
だから 7 + 38 + 3 では、まず 7 と 3 をたします:7 + 3 = 10、そして 38 + 10 = 48。 レッスン全体: どの順番でたしても同じ

やってみよう

20100+30

52 + 29

080−20

53 - 19

頭の中でかけ算を速くする方法

頭の中ですばやくかけ算をするには、扱いにくい数を近くのきりのよい数に置き換えて直すか、部分に分けます。16 × 25 は 16 × 20 + 16 × 5 = 320 + 80 = 400 です。かける数の一方が偶数のときは、2倍と半分にします。16 × 25 = 8 × 50 = 400 です。

5084008 × 50 = 40016 × 25 → 8 × 50 → 4 × 10016 × 258 × 504 × 100

8 × 50 = 400: 一方の辺を半分に、もう一方を2倍にしても、面積は同じ長方形が形を変えただけである

一辺が100になるまで長方形を伸ばそう

11 をかける

二けたの数なら、二つの数字を足して、真ん中に置きます。

36 × 11 → 3 (3+6) 6 → 396。 72 × 11 → 7 (7+2) 2 → 792。真ん中の和が10以上なら、1をくり上げます:85 × 11 → 8 (13) 5 → 935。

×11 は ×10 足す ×1 です。36 × 10 = 360 を 36 の上に書いて足すと、数字がずれて並び、十の位が 3 + 6 になります。「真ん中に置く」きまりは、そのたし算を先回りしてやったものです。

×11 をゲームで練習する →

24×3614424 × 6+72024 × 30
だから十の行は 72 の十倍:0 を書いてから 72 を書きます — 24 × 30 = 720。 レッスン全体: 二けたかける二けた
24×3614424 × 6+72024 × 30864
二つの行をたします:144 + 720 = 864。 レッスン全体: 二けたかける二けた

5 をかける

半分にしてから、10倍します。

5 × 48 → 48 の半分は 24 → 240。奇数なら先に10倍して半分に:5 × 37 → 370 → 185。

5 は 10 の半分で、10 は十進法でいちばんかけやすい数です。難しいかけ算を、半分にする作業と数字ひとつぶんのずらしに取り替えています。

×5 をゲームで練習する →

4 hundreds5 tens
450
10 をかけると、十は百に、一は十になります。45 × 10 = 450。 レッスン全体: 10・100・1000 をかける・わる

2倍と半分

片方を2倍、もう片方を半分にして、やさしいかけ算に持ち込みます。

14 × 5 → 7 × 10 = 70。 16 × 25 → 8 × 50 = 4 × 100 = 400。

片方を2倍にして片方を半分にすると、積は変わりません。2をかけて2で割ったからです。好きな数が出てくるまで、何度でもくり返せます。

5 で終わる数の2乗

十の位の数に、その次の数をかけて、うしろに 25 をつけます。

65² → 6 × 7 = 42 → 4225。 85² → 8 × 9 = 72 → 7225。

5 で終わる数は (10n + 5) です。2乗すると 100n² + 100n + 25、つまり 100 × n(n+1) + 25 — 「n に次の数をかけて、25 をつける」というきまりそのものです。

5 で終わる数の2乗を練習する →

a²ababb²ababa² + 2ab + b²
辺a + bの正方形はa²、ab帯が2つ、b²を含む——だから中間は2ab。 レッスン全体: 代数的恒等式

9 のだんは指で

両手の指を10本立てて、かける数の指を折ります。折った指の左が十の位、右が一の位です。

9 × 7 → 7本目の指を折る → 左に6本、右に3本 → 63。

×9 は ×10 からひとつぶん引くことなので、答えの数字の和はいつも 9 になり、十の位はかけた数よりいつも1小さくなります。指は、それを読み取る道具にすぎません。

やってみよう

276×20

276 × 20

31×16

31 × 16

頭の中でひき算とわり算をする方法

頭の中で引き算をするには、二番目の数がきりのよい数になるまで、両方の数に同じ量を足します。83 − 47 は 86 − 50 = 36 です。差は変わらないからです。割り算をするには、割る数の乗数を使います。25 で割るのは、4 をかけてから 100 で割ることと同じです。

40506070809083 − 47 = 368347d = +0

両方を+0だけスライドさせる: 83 − 47 = 36、差は同じままである。引き算の両端にdを足すと打ち消し合うからで、(83 + d) − (47 + d) = 36 となる

引かれる数が10の倍数になるまで両端をスライドさせよう

引かずに、数え上がる

差が大きいひき算は、小さいほうから数え上がります。

1000 − 674 → 674 から 700 まで 26、1000 まで 300 → 326。

ひき算は二つの数のあいだの距離で、距離はどちらの端からでも測れます。数え上がれば、0をまたぐくり下がり — 間違いのいちばんの発生地 — を丸ごと避けられます。

1000 からのひき算をゲームで練習する → — そこのレッスンは別の道(各けたを9から引き、最後だけ10から引く)で同じ答えにたどり着きます。二本目の方法として持っておく値打ちがあります。

55565758596061626364655863
63 − 58 は、2つの数がどれだけ離れているかの質問です。小さい方から数え上げます。 レッスン全体: 数え上げてひく
5556575859606162636465+2+3
60 まで 2、63 まであと 3。へだたりは 5 です。 レッスン全体: 数え上げてひく

両方をすべらせる

両方に同じ数を足しても差は変わりません — だから、都合のよい場所まですべらせます。

83 − 47 → 両方を3ずつ上へ → 86 − 50 = 36。

二つの数がいっしょに動けば、あいだの差は動きません。小さいほうがきりのよい数になるまですべらせれば、たいていのひき算はやさしいひき算に変わります。
2590+1+1
両方を 1 ずつ上げると 84 − 30。印は動いても、あいだは動きません。 レッスン全体: 同じ差

半分をくり返して割る

4 で割るなら半分を2回。8 で割るなら半分を3回。

232 ÷ 4 → 116 → 58。 96 ÷ 8 → 48 → 24 → 12。

090÷2÷2
84 ÷ 4 は半分を二回でできます。84 ÷ 4 = (84 ÷ 2) ÷ 2 = 42 ÷ 2 = 21。 レッスン全体: 半分にしてわる

やってみよう

40604856

56 - 48

70907982

82 - 79

頭の中で百分率を出す方法

頭の中で百分率を出すには、10% から始めます。10% は小数点を1つ左に動かした数です。そこから残りを組み立てます。80 の 35% は 3 × 8 + 4 = 28 です。それが面倒なときは入れかえます。25 の 4% は 4 の 25% = 1 と同じです。

4251004% の 25= 4 × 25 / 100= 1入れ替え

y の x% は xy/100 = 1 であり、これは長方形の面積を100で割ったものである — x の y% はその長方形を横に倒しただけで同じになる

x = 18、y = 50 に設定してから入れ替えてみよう

百分率の入れかえ

x% の y は、いつでも y% の x と同じ — そして、たいてい片方がずっと簡単です。

25 の 4% は面倒。入れかえて 4 の 25% = 1。 50 の 18% → 18 の 50% = 9。

どちらも同じかけ算 x × y / 100 を、読む順番だけ変えたものです。入れかえはただですし、反対側のほうがきれいかどうかをたしかめるのに、何の元手もかかりません。

すべてを 10% から組み立てる

10% は小数点ひとつぶん。ほかの百分率は、ぜんぶそこから組み立てられます。

ほしい数やること例(60 の)
10%点を1つ動かす6
5%10% の半分3
20%10% の2倍12
15%10% + 5%9
1%点を2つ動かす0.6

43 の 15% なら:10% は 4.30、その半分が 2.15、合わせて 6.45。

この二つで、日常の百分率のほとんどが片づきます。増減の百分率、割引、セール価格からの逆算には専用のガイドがあります:百分率の出し方。

of 120120%25%50%75%100%10%
120 を十等分します:120 ÷ 10 = 12。下の目もりは 10% と読めます。 レッスン全体: 百分率を求める
of 120360%25%50%75%100%30%
その三つ分は 3 × 12 = 36 で、下の目もりは 30% と読めます。 レッスン全体: 百分率を求める

やってみよう

of 900%25%50%75%100%90%

90の90%

of 1500%25%50%75%100%40%

150の40%

ほんとうに速くなるには

速い人とそうでない人を分けるのは三つのことで、そのどれも才能ではありません。

0500100015002000100049 × 21
50 × 20 は 1000 なので、本当の答えはそのすぐ近くに住んでいます。1029 です。 レッスン全体: 四捨五入で見積もる

あなたの番

三問だけ — 正解だと思うものをタップしてください。

45 × 11 を暗算で

35²

98 × 102

よくある質問

頭の中で数を速く足すには?
右からではなく左から計算し、きりのよい数に丸めてから直します。67 + 28 なら、30 を足して 97、足しすぎた 2 を返して 95。大きい部分から足すと、最初の一秒からおおよその答えを頭に持てるので、途中で迷子になりません。
暗算のかけ算でいちばん速い方法は?
計算する前に、問題をやさしい形に作り替えます。2倍と半分で 14 × 5 は 7 × 10 になります。5 をかけるのは、半分にしてから10倍。11 をかけるのは、二つの数字を足して真ん中に置く。どれも速く計算したのではなく、式を書き換えたから速いのです。
百分率を頭の中で出すには?
入れかえの技を使います。x% の y は、いつでも y% の x と同じで、たいてい片方がずっと簡単です。25 の 4% は面倒に見えますが、4 の 25% なら 1 です。残りは 10% から組み立てます。10% は小数点を1つ動かすだけです。
算数が苦手でも暗算のコツは役に立ちますか?
役に立ちます。これらは計算の速さの話ではないからです。ここにあるどのコツも、難しい計算をやさしい計算に置きかえるので、頭の中でする仕事そのものが小さくなります。大事なのは、それぞれの近道がなぜ正しいかを知っていること。そうすれば、いつ使えるかも見分けられます。
Mr. Chalk